MSN-02 ジオングとは
ジオングの概要
一年戦争末期、ジオン軍は極秘にニュータイプ専用モビルスーツ「ジオング」を開発しました。この機体の開発にはビショップ計画で得られたデータが活用され、サイコミュシステムが搭載されています。ジオングは純粋な宇宙戦用に設計されており、通常のモビルスーツに見られる歩行ユニットを装着せず、下半身には可変式ロケット・モーターが搭載されています。このロケット・モーターにより、ジオングは高い機動性を誇り、宇宙空間での戦闘に特化しています。また、歩行ユニットの開発も並行して進められており、その場合はロケット・モーターをユニットごと交換する設計が採用されました。
ジオングの固定武装には全身に合計13基のビーム砲が搭載されています。これを稼働させるために、ジェネレーターは通常のモビルスーツの3.8倍のキャパシティを持つ大型設計となっています。この強力な武装により、ジオングは一機で多数の敵を制圧する能力を持っています。コクピットは頭部と胸部の2箇所に配置されており、パイロット2名による運用が可能です。その場合、火器管制(頭部)と機体制御(胸部)を分担しますが、ニュータイプパイロットであれば頭部から全機能をコントロールすることができます。また、頭部は緊急脱出ポッドとしても機能し、パイロットの生存率が高められています。
ジオングは高性能機として開発されましたが、A級ニュータイプの出現と無線誘導型サイコミュ兵装の実用化の見通しが立ったことで、格闘戦の重要性が低下しました。このため、ジオングの研究は本国防空隊の工廠に預けられ、一部のプロジェクトチームが研究を継続しました。ア・バオア・クー戦では、稼働状態にあった3機のうち1機がキシリア・ザビからシャア・アズナブルに与えられ、実戦に投入されました。残りの2機は開発中の歩行ユニットとともに戦火で失われ、シャア機もガンダムとの戦闘で大破しました。実戦投入されたジオングは完成度80%の未完成機であり、上腕部装甲の一部が未装着のままでした。
ジオングのコンセプトは、その後のニュータイプ用モビルスーツやモビルアーマーに大きな影響を与えました。例えば、ニュータイプ専用機として開発されたキュベレイやサイコミュシステムを搭載したクシャトリヤなど、多くの機体にその技術と思想が受け継がれています。ジオングは『機動戦士ガンダム』の中で特に重要な役割を果たし、その独自のデザインと高い戦闘能力はファンの間でも高い評価を得ています。
ジオングの登場作品・登場シーン・パイロットなど
機動戦士ガンダム
ジオングはキシリア・ザビから与えられた機体で、シャア・アズナブルが搭乗しました。サイコミュの慣熟が不完全な状態であったものの、シャアはオールレンジ攻撃を駆使し、アムロ・レイのガンダムを激しく攻め立てました。最終的に頭部ユニットまで追い詰められ、自動操縦のガンダムと相打ちになるものの、シャアは寸前のところで脱出に成功しました。この劇的な戦闘シーンは『機動戦士ガンダム』のクライマックスを飾る重要な場面として知られています。
MSV
『MSV(モビルスーツバリエーション)』の設定により、パーフェクト・ジオングが誕生しました。この設定に基づき、本機ジオングと並行して脚部が開発されていたことが明らかになりました。ア・バオア・クー工廠で建造中だった3機のジオング(シャア搭乗機を含む)は、連邦軍の攻撃により脚部を含めてすべて失われました。また、パーフェクト・ジオングの発展系であるMSN-03 ジオングも新たに設定されています。
機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル
『機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル』では、エリク・ブランケがジオングの出撃に立ち会っています。彼は脚がないジオングの姿を見て「あれで正解なのか」と呟いており、このシーンはジオングの特異なデザインとその戦闘能力を強調しています。
機動戦士ガンダム サンダーボルト
『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第4巻では、ア・バオア・クーで建造途中だったジオングの2号機、3号機、機番不明機が連邦軍に接収されるシーンが描かれています。OVA版では、2号機と3号機の間に脚部が確認できるシーンが追加されており、ジオングの多様な形態とその未完成な部分が強調されています。